量子場を学ぶための場の解析力学入門 増補第2版 (KS物理専門書)

私の手元にあるのは、古い版のものですが、中身は新たに5章が追加されたほかは変わっていないようです。
Quantum Field Theory (以下、QFT)を勉強する上で、いくつも本を読みましたが量子力学の第二量子化のあたりからのギャップがかなりある気がしていました。先のフェッター&ワレッカのいいたいことは分かったことからも、グリーン関数の扱いあたりが分からないのではなく、古典場の場の量であるscalar, vector, tensor, spinorの変換性や共変ベクトル、反変ベクトルあたりの扱い分かっていないかと思い、その辺りの詳細な説明の本を探してこの本にたどり着きました。
かなり丁寧に書いてあるので順を追って読めばやりたいことは分かるかと思います。
今思うと、学部時代に一般相対論まじめに勉強してかったため、こうした場の変数の扱いや記述に慣れておらず、古典場の段階でのLagrangianをどうしてこう置くのか、その変換性がどうなっているのかが分かっていなかった。
このため、それを第二量子化して、QFTでその先にやりたいことまでついていけなかったということだと思っています。
その後、QFTの本は自分の理解のため社会人んなってから何冊も本を買い、Weinberg-Salamの電弱統一理論までは理解できるようになったので、自分にとって分かりやすい本に巡り会わなかったということと、この辺りのギャップを埋めてうまくトランジションできなかったと思っており、その辺り、同じ悩みを抱えている人が入れば参考しにしてもらえるといいかと思っています。
この本を読んだ当時に感動したのが、Noetherの定理で、ある変換に対して、Lagrangianが普遍なら、Noether currentが保存するという、保存量が出てくることが示せる点で、解析力学形式でこうしたことが示せるというのは改めて数学のすごさを感じました。(ここまでは物理というか、数学の範疇かと。)
QFTは、そこから先の話で自然界の現象に基づき、摂動、繰り込み各種テクニックを駆使して発散を取り除き、実験にあう妥当な結論を導き出すことに成功した、というもので、これは実験事実に裏打ちされた理論であり、物理そのものかと思っています。
目次をつけておきます。
第1章 座標系、座標変換(直交座標、斜交座標
2次元空間における座標変換 ほか)
第2章 場の量、場の量の変換性(Scalar,vector,tensor
Spinor場 ほか)
第3章 場の解析力学(場の量についての微分および変分
Hamiltonの原理 ほか)
第4章 場の相互作用(Iso空間
4個のspinor場のあいだの相互作用 ほか)
第5章 これからどうするか(場の量子論入門)(経路積分法入門
場の量子化)

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