一般相対論に必要なテンソルの計算について、線形代数の復習から始まって、座標変換、テンソル、メトリック、テンソルの微分、リーマン幾何学、Ricciテンソルととにかく泥臭いのですが、ちょうど小学生の計算ドリルのようにたくさんの問題と回答があって実際に手を動かして計算方法を取得することができます。
日本の相対論の本や参考書は、説明は有るのですが、式変形については一回出てきたらその後ははしょられていて後は行間を読んで自分で理解してね、というものが多く、実際に自分でやろうとすると行き詰まってしまうことが有ることが有りますが、この本は、とにかく問題数が多いのと例題が多いので、これを黙々とこなしていると式変形の操作について慣れてくると思います。
一般相対論については、物理的な原理についての深遠なところはもちろん有るのですが、ほとんどはそのリーマン幾何学に入る際に、これまで知っている線形代数、テンソルから一段階も二段階も表記と計算が複雑になるために、十分に自分の身に付いていない状態で先に進んでしまうということが有るのではないかと思います。
私の場合も、相対論の本を何冊か読んで教科書上の式の変形については、まあそんなもんかと思って表面的な理解はできているつもりでいたのですが、実際問題を解くことができないという状態だったので、一時期この本をノルマを決めて解くようにしていました。だんだん慣れてきたせいか、前よりも理解が深まった気がします。
もちろん、外微分形式でエレガントにやる表式も有るのですが、一回はこうした泥臭いトレーニングをしないことには、身に付かないのかなぁとも思いました。
このSchaum’s Outlinesは、大学での数学(応用数学も含む)のシリーズが数多く出ていて、内容も基礎的なところからその分野で必要となる所までの計算、演習がこれでもかというくらい出ているので、日本の教科書、問題集で分からないときには、この本に当たってみるといいかもしれません。
残念ながら日本の本屋にはあまり置いていないと思うので、アマゾンで中身プレビューしてみるしかないと思います。大学中級の問題集で独学できるというコンセプトの本は、日本ではあんまりないなぁという印象です。
<2021年追記>
日本語訳が出ていました。本のスタイルがだいぶ違いますが、こちらで勉強するのが効率的かもしれません。ただし、原書より問題数が少ないようです。
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