微分・位相幾何 (理工系の基礎数学 10)

物理屋さんが、微分形式とか、微分幾何学、ファイバー束を知る上で入門用としてよく書けた本だと思います。数学書だと、どうしても定義の厳密性とそこから広がる数学世界観の証明や定理となりますが、この本はどちらかというと、それがどう使われるか、ということを知るとっかかりになるものだと思います。
これを知っていると、電磁気学や相対性理論、場の理論、特にゲージ理論当たりにについて、現代的できわめて見通しの良い記述の方法で理解することができます。単に同じ物理現象をきれいな数学で書き直しているだけ、といえなくもないのですが、見通しの良い記述が可能というのは、統一感があり、泥臭い古い記述方式よりも高次な理解ができた気になるもの?です。
進んだ数学を道具として使うと、同じ物理現象でも統一的に見ることができるということは、やはり自然現象の中に、統一的な美しさというものが内在されており、それを新たな道具を手に入れることでかいま見ることができる、といった感触を持ちました。数学と物理は切っても切れない関係にあるなぁと、物理をしていた立場からは思います。数学屋さんからすると、厳密でなくて気持ち悪いのかもしれませんが。
線形代数で出てきた双対空間なども、微分形式をやって初めてその意味と有り難みを感じました。また、一般相対論についても、微分幾何が威力を発揮するので、この辺りは一度勉強されると良いと思います。

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